読書レビュー:深夜特急<3>インド・ネパール(新潮文庫)/沢木耕太郎
2を読んでから1年近く経ってしまった。
インド・ネパール編に突入。
30年経った今もなおバックパッカーの聖地として絶対的な存在となっているインド。
風景や人物描写は言うまでもなく、人を旅に出たくさせる表現力は相変わらずである。
それに加え、死体焼場や「秘密の花園」の描写は単なる旅行記を遥かに超えており、エッセイとしてのこの本の面白さもふんだんに詰まっている。
しかし去年香港マカオ編を読んだときのような、今すぐどこかに旅したいと突き動かされる衝動は、今回はそれほど出てこなかった。
おそらくこれは本の中身の問題というより、この1年でわたしが、ある意味で大人になったためではないかと思う。
去年よりも守るものが増えて現実を見ざるをえなくなったのが大きいだろう。
やはり本書は若いうちに出会っておくに限る。これ以上自分が冷めてしまわないうちに、残りも一気に読んでしまいたい。