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読書レビュー:金閣寺(新潮文庫)/三島由紀夫

 

金閣寺 (新潮文庫)

金閣寺 (新潮文庫)

 

 

三島由紀夫作品をずっと読んでみたいと思っていたので、代表作として名高い本作を手に取りました。


童貞ドモリの主人公くんの屈折しきった半生を描いた作品。
ずいぶんひねくれた主人公だなあと思うが、実際に1950年に起きた金閣寺焼失事件を題材にしているようで。
登場人物全員が変な方向に屈折している。

恥ずかしながらわたしは金閣寺焼失事件を知らなかったので、最後まで葛藤を繰り返す主人公くんが焼くのか焼かないのかハラハラさせられました。


永遠の美の象徴である金閣を焼き払う、というのが主人公くんの背負い続ける呪縛を解き放つ唯一の方法だったのだろう。

 

放火犯の気持ちに寄り添うわけではないが、幼少期からのコンプレックスと自己の葛藤、金閣を焼かねばならぬと思い至る経緯の理解については倫理的、読解的に学ぶところが多く、国語の教科書に指定してもよいとすら思う名著。