こころの筋トレ

こころにも筋トレ。日々の生活の傍らで感じたことを形に

読書レビュー:モリー先生との火曜日(NHK出版)/ミッチ・アルボム、別宮貞徳

 

普及版 モリー先生との火曜日

普及版 モリー先生との火曜日

 

 

 

ALSで死に瀕したかつての恩師、モリー先生との最後の講義を記した本。

大学を卒業してから疎遠であった筆者がどのようにモリー先生と再会したのかは本文を読んでいただきたいですが、死に直面しても最期まで人との対話を尊重し続けたモリー先生の姿勢には心を動かされるものがある。

日々を忙しく過ごす中で、ほとんどの人は何が大事なものかを真面目に考えなくなってしまう。まして「愛」とは何かだなどと、いい年こいてバカ真面目に考えられる人がどれくらいいるのだろう。
しかしそれをバカ真面目に考えることは決して恥ずかしいことではない。

筆者はモリー先生を「コーチ」と呼んでいた。これは尊敬の意と、親しみやすさの両側からの意味だ。
このように生涯を通した生き方について、大切なことを教えてくれる師に出会えるということは極めて稀有なことである。
僕は残念ながらまだ出会えていない。


しかし師という言葉を耳にするたび、オウム真理教事件の林死刑囚に対して裁判長が述べた
「およそ師を誤ることほど不幸なことはなくその意味において被告人もまた不幸かつ不運であったといえる。」
という言葉が頭の中をぐるぐる廻る。

人生の師に出会うことは実はものすごく難しい。